小1でピアノを習いに来たAちゃんは、真面目で可愛い子でした。自分からはほとんど話さないのですが、よく聞いて理解する芯の強い頭の良い子でした。普段から無口なのか、お母様に尋ねると「2人の兄に鍛えられて強いんですよ!」ということでした。
その頃私はピアノ教材に疎くて、昔の王道を使っていました。バイエル、ハノン、ブルグミュラー、ツェルニー、インベンション、ソナチネ、などの古典的なテキストをAちゃんは黙々とこなしていきました。中学生の時、合唱祭の伴奏ピアニストのオーディションがあり、試してみる事にしました。弾ける様になると合唱パートをバイオリンで弾いてレッスンしました。伴奏のトレーニングになった様です。他にもとても上手な友達がいたそうですが、Aちゃんが選ばれてミューズの大ホールのスタンウェイフルコンサートピアノでぴあの伴奏をさせて頂きました。高校受験が終わるまでレッスンに通ってくれたAちゃん。強くて優しい、誰からも好かれる大人に成長していきました。
SちゃんとYちゃんは仲の良い姉妹です。お姉ちゃんがバイオリンを弾いているのを見てYちゃんもはじめました。この姉妹は本当に楽しい子達でした。発表会の合奏練習の時に、「ひゃー先生たくさんの生徒雇ってるんだねー❕」と言ってみんな大笑いして緊張がほぐれました。その頃生徒さんがとても多かったのですが私の体調不良で、他の先生のところに移って頂きました。妹のYちゃんはその後、洗足学園音楽大学に進みました。
年中さんの時にいらした小さな彼は「僕絶対にやらないよ!」とお母様の後ろに隠れていました。
バイオリンはとても無理な様子でしたので、リトミックとピアノから始めました。
数ヶ月無理のないレッスンをするうちに、リラックスしたのか本人から「バイオリンもやりたい!」と言い、結局両方のレッスンを続けて、どちらも驚くほど上達致しました。 毎朝ピアノを練習して学校に行き、夜は必ずバイオリンを練習していたそうです。
幼稚園児の時に、私がバイオリンから始めようとすると「ピアノから弾くの!盛り上がって来たらバイオリンを弾くの!」ときっぱり言いました。どうやらピアノを弾くとリラックスしてバイオリンに取り組めるようです。
小学校時代は合唱のピアノ伴奏をして、卒業式には全体の合唱の伴奏ピアニストに選ばれました。
高校時代は、弦楽合奏部を立ち上げて高校生の全国大会で優勝致しました。ビバルディーの四季より春のプリンシパルソロを弾きました。 男子校での弦楽合奏部の活動をDVDで見せて頂き本当に楽しそうでした。
小さい頃はデリケートで、風邪をひくことが多かったし、声変わりしたのもクラスで一番最後だった彼が、今では立派に成長して大きな志を持って大学で学んでいます。 ご両親の愛に支えられて強く柔軟で豊かな心に成長していくのを共に見させて頂き本当に感謝しています。
S君は生まれつき身体と内科に重い障害を持っていました。
小1からバイオリンを始めました。
左手の指で押さえたり離したりして、弓で弾く練習に入った頃、いきずまってしまいました。
左右の動きがコントロール出来ないのです。
通常、数回で出来る事を色々な方法で何倍も練習しなければなりませんでした。
私は「ハンディのある子には無理なのかもしれない。」と思いました。
そんなふうに私があきらめそうになった頃、彼はゆっくりと蕾が開くようにバイオリンを弾ける様になり始めました。
私は彼から貴重なことを学びました。
重い障害を持った子供が私が考えるより遥かに忍耐強く、あきらめなかった事です。
器用な子がすぐに弾けてすぐに忘れる場合もあるのですが、彼は何倍も練習しなければならないけど一度覚えたことは忘れませんでした。その後10数年間のレッスンで、S君は、ヘンデルのソナタまで弾ける様になりました。パッヘルベルのカノンやバッハのアリア、コラール、久石譲の君をのせてなどの曲もみんなと一緒に合奏の発表会でも演奏致しました。
この経験から私は自分の基準で生徒の限界を決めないように心がけています。
K君は、お坊ちゃまタイプ子でした。お母様が音大のピアノ科出身でピアノ教室をなさっていて、楽器の練習に対する意識もしっかりしていて淡々と練習して弾ける様になっていきました。成人してお母様と再会して伺ったのですが、彼は10年位続けたバイオリンから、ギターに転身して現在ポピュラーの世界で仕事として活躍しています。人って色んな可能性を持っているものですね。 実はバイオリンが弾けると色々な弦楽器が習得しやすいのです。私もウクレレやビオラ、なんとチェロまでも興味を持ち触っているうちに分かってくるのでおもしろいです。そのうちにコラム書こうと思います。どうぞご覧ください。
年中さんの時に出会ったM君は、のんびりした子でした。発表会前の合奏練習の時に、楽譜を忘れてきてもおっとりしていて私の方があわてることもありました。 普段のレッスンでも集中しようとすると、いろいろな事を思い出してお話しすることが多くてなかなか進みませんでした。「この子は、一体どんな大人になるのかしら?」と少し心配したり致しました。その彼が大人になって再会した時、福祉の音楽の先生になっていたのには本当に驚きました。頼もしく成長した姿に感心致しました。

